税理士法人 北陸中央会計 |
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パソコン会計 記事:税理士 堀川康範 ◆パソコン会計と自計化は違う意味? 「パソコン会計」や「コンピュータ会計」とは「顧問先である企業が自分で会計ソフトに必要データを入力する」ことを指します。会計事務所が良く使う言葉の中に「自計化」がありますが、同じ意味です。パソコン会計は、全国商工会連合会が推奨する会計ソフト実務能力試験として社団法人コンピュータソフトウェア協会が、また、コンピュータ会計はコンピュータ会計能力検定試験として社団法人全国経理教育協会が認定試験を行っています。 ◆パソコン会計のメリットは何? パソコン会計のメリットは、各々の会社の事情で異なりますが、主に次のものがあげられます。
◆パソコン会計に問題は無いの? 今までの相談を要約すると、次のようになります。皆さんの悲痛な声が聞こえます。
◆パソコン会計成功のポイント 上記の問題点は、メリットと表裏一体の関係にあるといえます。ポイントは、「問題点をつぶし、メリットだけ享受できるパソコン会計」を考えることです。 ◆「パソコン会計」の目的 1.会計処理の品質とスピードアップにより、データを経営に生かすこと 2.会計事務所の負担を減らすことにより、より高度なサービスを受けること パソコン会計は上記目的を達成する手段であり、目的ではないということをよく理解する必要があります。そうしないと、「パソコン会計ソフトを買ったから、もううちの会社は合理化できた」みたいな「勘違い」をしてしまいます。 「パソコン会計の運用」をしっかり検討しないでパソコン会計を導入したことにより企業側の経理担当社員の負担があまりに大きくなり、「パソコン会計導入後は残業時間が増えた。その割にはミスが多い」では意味がありませんよね。会計ソフトだけ押し付けられた経理担当はたまったものではありません。 パソコン会計成功のポイントは、経理業務の品質(Quality)と速度(Speed)そして導入・運用費用(cost)のバランスにあるといえます。私は、このQuality・Speed・costの頭文字をとってQSCバランスと言っています。(Speedは、delivery(納期)と置き換えて、QDCバランスとも言います)。 ◆会計ソフトの選択 家電量販店やネットを検索すると、たくさんの会計ソフトが販売されていますが、ソフトの選択基準を決める必要があります。選択基準とは、会計ソフトに何を求めるかということです。 たとえば、次のものが考えられます。 1.メーカのサポート体制 2.会計事務所のサポート体制(どのソフトをサポートしているか)とデータ連動の可否 3.会計ソフトから出力される統計資料の種類(部門別資料、キャッシュフロー、予算実績比較、各種グラフなど) 4.操作性 5.値段 会計事務所向け会計・税務ソフトのベンダであるTKC、MJS、ICS、JCLなどは、1~3は何の問題もないでしょう。特に、統計資料は豊富でデータ連動も問題ありません。問題があるとすると操作性と値段です。操作性は、もともと「伝票ありき」が前提となっている場合が多く、「領収書などの証憑からの直接入力」をするとき、あまり使いやすくありません。値段についても、安価なものは制約が多く「他の市販会計ソフトとの競合のための商品カテゴリ」の意味合いを強く感じます。 一方、「他の市販会計ソフト」で現在ユーザー数が多いのは、弥生会計、勘定奉行、PCA会計、会計王、新しいところで「らくだシリーズ」あたりです。やはりこういった業務ソフトは、「使いやすいもの」でないと一定のシェアは確保できません。また、ユーザ数が多いということは、ソフトウエアの瑕疵(バグ)の修正も迅速ですので、安心して使えます。 当然ですが、どのソフトも複式簿記の原則に基づき設計されており基本的構造は変わりません。ただし、操作性やメニュー構成、仕訳の定型登録、販売・在庫管理ソフトとの連動、ネットワーク機能、会計事務所との連動機能、統計管理帳表にかなりの違いがあります。 大切なのは、会計事務所と同じ財務会計ソフトを選ぶことです。そうすれば、電子データの受渡しにより手書きの帳簿を渡すのと同じ効果が得られるからです。なお、当事務所ではデータ連動機能が充実している弥生株式会社の弥生会計を推奨しております。 但し、弥生会計が良いか否かは業務内容によります。クライアントと検討を重ね、他の会計ソフトを採用する場合もあります。会計ソフトは会計事務所とクライアントとの双方の立場から、ベストなものを選択する必要があります。 (注)財務会計ソフトの価格は4万円から数十万円と大変幅がありますが、最低価格のものであっても財務会計ソフトとしての基本的機能に問題はありません。ただし、サポートのないフリーソフトやあまりにもユーザー数の少ないソフトはできるかぎり避けることです。 |